感性論哲学とは

 
■21世紀を拓く感性論哲学
 
●感性論哲学とは
 
感性論哲学とは、哲学者・芳村思風氏が構築した「感性」を原理とした哲学です。
「理性」を原理とした西洋の哲学に代わって登場した日本発の
世界に類を見ない画期的な哲学体系です。
21世紀を拓く唯一の哲学と言っていいでしょう。
 
内容的には、感性原理論に始まり、
宇宙論、生命論、人間論(人格論・境涯論)、教育論、歴史論、感性経営論等まで
多岐にわたってい全体的有機的な体系となっています。
 
「一般的に使われている感性」のように
美術や音楽、建築やファッションに見られるセンスや感覚的なものではなく、
「感性」というものを、宇宙や生命の本質としてとらえて、展開している哲学です。
 
感性論哲学の創始者である芳村思風氏は、
「感性論哲学概説」の「はじめに」で「感性論哲学」について
次のように記しています。
 
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感性論哲学は、新しい宇宙観・生命観・人間観を基礎に成り立っている。
人間の目的は、人間らしい人間になることであり、
本当の人間らしい人間になるためには、どうすればよいのかを提唱している。
 
感性論哲学では、本物の人間を目指す上で、
人間の能力の中で「感じる力」、
つまり「感性」という存在が持っている能力・原理というものを
人生や人間の生き方において、非常に大事なものだと考えている。
 
「感性」が持っている基本原理は、
自己保存・種族保存の欲求から出てくる人間的な生き方の原理、
すなわち、人間は意志を実現し、愛を実現するということであり、
この2つを実現することを通して
人間は初めて本当の意味での幸福が実現できると提唱している。
 
人間の進歩を、人間性において、人間の在り方において実現すること、
人間性における進化を果たすこと、こういうものを感性論哲学は目指す。
 
つまり、人格の向上を目標にして生きるという文化をつくり出すことによって、
人類としての進化を実現しようと考えているのである。
 
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ここで、芳村思風氏の有名な言葉を4つ紹介しておきましょう。
 
■考え方ではなく、感じ方が人生を決める。
 
■人間において生きるとは、ただ単に生き永らえることではない。
 人間において生きるとは、
 何のためにこの命を使うか、
 この命をどう生かすかということである。
 
 命を生かすとは、何かに命をかけるということである。
 だから、生きるとは命をかけるということだ。
 
 命の最高のよろこびは、
 命をかけても惜しくないほどの対象と出会うことにある。
 その時こそ、命は最も充実した生のよろこびを味わい、
 激しくも美しく燃え上がるのである。
 
 君は何に命をかけるか。
 君は何のためになら死ぬことができるか。
 
 この問いに答えることが、生きるということであり、
 この問いに答えることが、人生である。
■真実の愛とは、
 他者と共に生きる力であり、
 短所を許し補い、
 長所と関わる力である。
 
■人生は、意志と愛のドラマ
 
人生は、意志と愛のドラマである。
人間は皆、愛ゆえに生き、愛のために死ぬのである。
意志ゆえに生き、意志のために死ぬのである。
意志と愛の結合が、人間であり、人生である。
 
愛の世界は、親子の愛を縦軸とし、男女の愛を横軸として、
その骨格が形成されている。
 
意志の世界は、
自我(人類の意志)を縦軸として、職業(社会的使命)を横軸として、
その骨格は成り立っている。
 
この意志と愛を共に実現する事が、人生の目的である。
そして、人間生命の本質である意志と愛を
努力して実現せんとするところに、
生きがいもまた、生まれるのである。
 
●同哲学の10の学問的業績
①精神と肉体と二元的人間観を克服して、
 世界で初めて感性を原理とした一元的人間観を確立したこと。
②理性も肉体も感性によって創造されたことを論証したこと。
③人間の本質も、生命の本質も、宇宙の本質も、
 感性であるとする新しい考え方を体系化したこと。
④感性の本質は受動的な感受性ではなく、
 能動的な「求感性」(ぐかんせい)であることを発見したこと。
⑤感性の存在の働きは、神経の存在に依存しない事を発見したこと。
⑥感性には、調和作用と合理作用と統一作用という、
 模索的な働きをする3作用があることを論証したこと。
⑦理性は人間が後天的に作りだした不完全で有限な能力であるとする理性概念の
 変革を成し遂げたこと。
⑧人生は「意志と愛のドラマ」と考える新しい人生哲学を確立したこと。
⑨人格は3次元の構造(深さ・高さ・大きさ)を持つという新しい人格論を確立し、
 人間性の進化成長の方向性を明確にしたこと。
⑩人間は誰でも天分を持っているとし、
 顔の相異を根拠に、天分の発見方法を開発したこと。
●同哲学の5つの特長
①これからの世界と日本が目指すべき理想と目標を
 明確に掲げている世界で唯一の哲学であること。
 (合議政治と人格主義経済と互敬主義社会と感性文化と新しい精神文明の創造)
②愛を能力として規定し、
 愛の能力を理性に勝る問題解決能力として成長させることによって、
 離婚の激増をくい止め、幼児への虐待を防ぎ、いじめをなくし、
 戦争から平和への道を拓く事を提案していること。
③世界の歴史はアメリカに代わって日本が世界の指導者となり、
 人類を夢多き未来へと導くことを期待していると提言していること。
④人類史は風土を変えることによって、
 新しい時代を呼び起こしてきたという事実を指摘することによって、
 日本に新しい時代と発展を呼び起こすためには、
 「東京から全く新しい所に歴史的大遷都を実行する以外にない」
 という提案をしていること。
 (東京は近代日本を支えた都としての歴史的価値を保存する段階に入っている)
⑤理性的に正しい生き方をするのではなく、
 人間的に正しい生き方をする倫理革命の哲学が、感性論哲学だということ。
 
 
 
●今は、素晴らしい時代が誕生する陣痛の時
 
哲学とは「時代を興す原理」であり、
感性論哲学は、新しい時代を興す日本発の哲学です。
素晴らしい時代の幕開けにふさわしい芳村思風氏の言葉をご紹介することで、
しめくくりとさせていただきます。
 
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今、世界の文明は、
あらゆる分野において危機に直面しており、
深まり行く混迷の中で人々は不安に包まれている。
 
喜びは短く、悲しみは長い。
喜びは努力しなければ得られないが、
悲しみは努力なしにやって来る。
 
人生とは、その大半が苦から楽への、
悲しみから喜びへのプロセスである。
 
人間の価値は、このプロセスそのものに
どれ程の生き甲斐を見い出し得るかにかかっている。
 
世界は、今後、苦しい不安定な動乱期を
経験しなければならないであろう。
しかし、それは決して悲しむべき時代ではない。
むしろ、動乱期こそ最も素晴らしい時代である。
 
すべてのものがそこから生まれ、
あらゆる新しいものへの可能性をはらんだ生き甲斐のある時代、
世界中の若人が待ちに待った、夢多き時代がやってきたのである。
 
理性を柱とした西洋文明が行き詰まりを露呈している現在、
感性を柱とした日本の哲学は、単に日本哲学であるのみにとどまらず、
世界文明の打開という見地からすれば、
世界的思潮にまで成長しなければならない必然性を
持つということができる。
 
今こそ私たちは、
自らの思想と行動の原理を日本的感性に置き、
感性論哲学の体系に支えられた論理と確信に立って、
自覚的に行動する時を迎えている。
 
ともに新しい時代をつくり出して行こう。
 
 
 
【芳村思風(よしむら・しふう)プロフィール】
 
哲学者。感性論哲学の創始者。日本哲学会会員。
名城大学講師。東海ホリスティック医学振興会顧問。
昭和17年、奈良県生まれ。
学習院大学大学院博士課程を中退し、「思風庵哲学研究所」を設立。
感性が生命の本質であり、人間の本質であり、
宇宙の究極的実在であるとする「感性を原理とした哲学」を世界で初めて体系化した。